初めてお店でカレーを食べたのはいつだっただろう。たぶん中学生の頃、田舎からバスに乗って神戸に出て来て、三ノ宮の新聞会館の映画館で映画を観たあとで、B1にあった「ヒマラヤ」という名前だったと思うんだけどカウンターだけのカレー屋さんで日本風のカレーライスを食べたのが初めてだと思う。食べた後に今にきるでランチの時、食後に出してるようなデミタスカップでコーヒーが出て来て、わっわー子供がコーヒーとか飲んでいいの?と思いながら一口飲んで、ちょっと大人になったような気分になったのを覚えている。その後、大学生になって京都いたんだけど、大学3年生の時はちょうどバブル景気の頃で、世の中は景気が良くディスコやカラオケが大流行だったけれど、田舎から出て来たおぼこい私はそのノリに乗れなく中古レコード店でレコードを買って来ては4畳一間の下宿の部屋で聴いてるような内気な大学生だった。下宿では同志社、立命の先輩や同期の連れと仲良くして同じ東本願寺前の修学旅行生がくる旅館でバイトしたり、皆んなで大盛りの学生向けの定食屋へ行ったりして結構楽しかったけれど。私は京都産業大の法学部に行ってたけど、あまり法律の勉強も興味がなくて、なんとなく大学に行ってたせいで4年で卒業できるか?ギリギリのラインだった。なので、就職活動も全くせずに、その頃、流行り始めてた自由旅行にハマってアルバイトで貯めたお金で春夏冬春休みにはバックパッカーになって中国、チベット、ネパールなどを1人で旅して回っていた。特にネパールでは、トレッキング(山歩き)というものを初めて知って、しかも初めてのトレッキングでアンナプルナ1周をしたので、ほかのヒマラヤの山々のトレッキングもしたくなってクンブー地区(エベレストのあるところ)とかランタン地区とかも行ってみた。ネパールではダルバートというご飯と豆のカレーとカレー味の野菜が少量皿に乗った定食をカトマンズ(ネパールの首都)で現地の人が通ってる店を見つけて食べ廻ったりしていた。その後、インドにも行ってみようと思いバスでインドに向かいブッダの生まれたルンビニからインド国境を超えてインドに入ったのが初めてのインドだったと思う。そのままガンジス川のガートで有名なバナラシに行き2日ほど居てから電車で首都デリーまで行って日本領事館へ。領事館気付で大学を卒業できたかどうか手紙を送ってもらうように家族に頼んでいた。無事4年で卒業できた。でもバブル景気の中で就職して社会の歯車になる勇気が全くなくて、インド旅行でだいぶズレも生じてしまっていた。帰って来たからさぁ〜どうしようと思ったけど、その時はバイトで月20万弱収入もあったし仏教大学の通信講座で教職の資格でも取ろうと大学を入り直すも、半年でレポートを書き上げて残りの半年で他のインドを見てみようと旅に出かけているうちに、先生になるのも自分には向いてないような気がして、1年でそれもやめてしまった。2回目のインドではカルカッタでシタールを買って来て下宿の部屋に飾ってた。くしゃみをすると、シタールがビ〜ン♪と鳴ったりしてた(笑)。そんな気ままな暮らしをしてる時、はっ!と気がついた。インドでは人が多くて仕事につける人が限られてる。なので、大人数の家族みんなの生活費を1人で稼ぐのに汗だくで朝から晩までよく働いてるインド人の姿を見ていた。日本でちょこっとバイトして稼いだお金でインドまで飛行機で飛んで行き好きなとこ行ってる自分が恥ずかしくなった。日本で何か仕事を見つけて休暇の時にインドへまた行こう。その時、ふと思ったのがインドで食べたカレー、いろいろ混ざって見た目もそれほどきれいじゃないけど、ご飯とかパンとかと一緒に食べると口の中にスパイスの香りが広がって、その広がりが時間差で何度もやってくる。うーーん。奥が深い。しかもスパイスや玉葱、トマトなどの自然のものだけを使ってこのような味が出せるとは凄いと思った。体に良さそうで食べた人がハッピーになって栄養となる。心と体に良いものを提供できるインド料理の料理人という仕事は良いかも。そう思った。それにちょうどその頃本屋で買った浅野哲也さんの「風来坊のカレー見聞録〜アジャンタ九段店の調理場から」を読んで、うーーん?なんか楽しそう。自分もインドカレーの道に挑戦してみようかなと思った。
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